環境性


「環境性」と言っても幅が広くて解かりにくい。口では「環境に配慮した建築を造るべき。」と訴えるのですが、実際は果たして環境に配慮した建築が創れるのだろうか?と疑問に思うこともある。現在、国の政策は京都議定書をはじめとした地球温暖化の歯止めをかけるためCO2削減、自然エレルギ-活用などの法律を定め推進している。良いことだと思っているが、この政策を一つ一つ紐解いていくと、何故か机上の数値だけの指針で本当に将来の生活のための物でないような気がする。と言うものの私たちはその中で、良いものと、そうでないものを見極め採用していくべきと考える。そこで、このペ-ジでは、皆さんが良く聞く、身近な環境のキ-ワ-ドを一つ一つ取り上げ解説していくことにする。

  • 断熱性能

 信州では冬の暖房対策が重要視され、夏は比較的、他県に比べれば特に対策はしなくても良い。と言われる方がいる。近年、地球温暖化が進み、その言葉とおりに行かなくなってきている。また、特に冬の対策として石油エネルギ-に頼らない生活が求められ、断熱性能の高い建築を建てるようになってきている。断熱性能の高い建築は冬の暖房費削減のための対策だけではない。夏の暑さ対策にも有効である。しかし、ただ断熱性能を高くすれば夏にも有効になるわけではない。下手をすると蒸し暑くなり逆効果になってしまう場合があるので気を付けなければならない。

 

  • 気密性能

 よく気密性能を上げる話の中で、空気が動かない密閉された建築を創って快適なのか?と言われる方がいる。確かに、そんな空間にづっと居れば不快な環境になるに決まっている。「密閉」という言葉のイメ-ジが悪いのかも知れない。「隙間風対策」と言えば納得がいくと思う。住宅展示場など行くと、営業マンが「私どもの建物は気密性能、断熱性能が高く快適な住環境です。」と説明しています。確かに箱としての数値は高いかも知れない。しかし、よく考えてほしいい。その建物を条件の違う敷地に建てた場合、敷地周辺の環境の違い(風向き、日の当たり方など)から数値は大きく変わることは説明しない。これは建築を単純に製品として売っているに過ぎない。本来、建築は敷地条件などを配慮してプランなどオリジナルで設計し建設しなければ基本からずれているのです。

 

  • 自然エネルギ-活用

 石油エネルギ-に頼らない生活、太陽熱を利用するソ-ラ-パネルを屋根に取り付け、電気エネルギ-にして活用すれば環境に配慮した生活を送っていると勘違いしている方が多い。屋根の上に取り付けたソ-ラ-パネルから発電した電気を売電して家のロ-ンに当てている話をよく聞く。これは自分の懐に良いだけで環境に配慮しているとは言い難い。もっと深く考えて欲しい。ソ-ラ-パネルを製作する時に使うエネルギ-は莫大な量である。また、現在のところソ-ラ-ペネルが不要になった時は分解することができず、地中に産業廃棄物で埋めるしかないのだ。リサイクルできると言っても限界があり、最終的には埋め立て処分しかない。

 太陽熱を利用する手法はソラ-パネルだけではない。単純に集熱、蓄熱を複雑な機械を使わなくても活用できる。本来の家づくりはこの手法で作るべきと考える。一例で言えば昔からある。濡れ縁、内縁、土間などもその手法である。四季折々の太陽の動きによって光の当たり方が違う、太陽の日をうまく捉えて家づくりをしましょう。

 

  • リサイクル

 現在ではアルミニュウム、プラスチクなど資源のリサイクルがだいぶ普及し、私たちの日常に浸透してきた。しかし、建築についてはどうだろうか?近年の建物解体時には手間をかけ分別を行ってリサイクルできるものはしているけれど、まだまだ産業廃棄物の多くは地中に埋めていのが現状である。特に木材などは焼却処分している。昔の民家はよく古材を利用したり、移築して建てたり普通にしていた。最近は古民家が見直され時々、民家再生を行うようになった。これこそが究極のリサイクルだと私は思う。今、建設している住宅で将来、柱や梁を活用して新しい家が作ることができるだろうか?おそらく不可能に近い。次世代のことをじっくり考え家づくりをしたいものだ。